課題1 環境放射線を測る
私たちが住む地球環境は常に自然放射線にさらされているが,それは宇宙線および環境中の天然の放射性物質に起因する。放射線は人間の五感にはかからないため,日常生活において認識することは難しい。また現代では,医療被曝や職業被曝などを引き起こす人工放射線も人間に深く関わっているため,その性質や量の概念を知ることは重要である。
この課題では,ガンマ線の伝搬に関わる基礎的な性質(距離,遮へいによる減弱)を実験により知る。また環境放射線を実際に測定し,その線量の概念を学ぶ。
課題2 リンの分析による広瀬川の水質評価
我々の生活には水が必要不可欠であり,その主な供給源である河川の水質の保全,改善は重要な環境問題である。高度経済成長期を中心に著しく悪化した日本の多くの河川の水質は,1967年の公害対策基本法の施行以来,鉛や水銀などの有害物質に関しては,大幅に改善がなされた。しかし,多くの湖沼や内湾では依然として生活廃水や工業排水,農業廃水などの人間の生活に起因する富栄養化の問題が残されており,富栄養化物質に関して改善が必要な状況にある。
本課題では主たる富栄養化の原因物質の一つであるリンの分析を実際に行うことを通じて,その手法を学ぶとともに,リンが環境に及ぼす影響について学習する。
課題3 重力加速度の測定を通してみた地球
私達は,地球上で重力のもとに生活している。重力は地球と物体間の万有引力によって生じている。地球が完全に球でないことを考えると,重力の加速度 g は測定する場所によってそれぞれ異なったものになってくる。また,実際に測定される量は,地球の回転による遠心力や,さらには,局所的な地殻の構造にも影響される。この課題では,仙台における重力加速度 g を実際に測定し,その解析を通じて,われわれの受けている重力の意味を考察する。
この課題では“ケーター振り子”と呼ばれる振り子を使って,仙台における重力加速度の値を高い精度で測定し,その理解を深める。