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グラフの書き方

   グラフの書き方については教科書の付録Aにも詳しい記載があります.



なぜ,グラフを描くのか?


   みなさんはデジタル時計とアナログ時計,どちらがお好きでしょうか? 正確な時刻を秒単位で知りたいというときには,デジタル時計を選び,パッとみて時刻を知りたいという場合にはアナログ時計を使うことが多いのではないでしょうか?

   実験結果は多くの場合,数値の羅列です.正確な測定値を知りたいのであれば,表の形式でまとめておくのが便利でしょう.一方で,それらの値の中から,関連する事象を見出したり,頻度の高い順に事象を整理したり,全く傾向の異なる事象を見つけたりする上で,結果を視覚的に捉えるグラフは強力なツールになります. もし,得られた結果を論文などの出版物として,広く世に発信することが目的であれば,結果を視覚的に捉えることはもちろんとして,そのグラフはより綺麗で,多くの人の目を引くものにしたいと思うことでしょう. ここでは,そのような“おしゃれ”は後回しにして,「実験を行いながら自分自身のために描くグラフ」あるいは「実験の結果わかったことを他人と共有し,議論するためのグラフ」を想定してみましょう.

   まず,可能であれば,実験を進めながらグラフを描くことをお勧めします. 例えば,単調に増加していく(と考えられる)量を測定していたとき,実験装置の異常や,予期せぬ要因によって突然傾向が変わるかもしれません.そのような変化にいち早く気づくには,数値の羅列を眺めるより,視覚的な情報が役立ちます.全ての実験を終えてから,気づくことのできた異常を発見するのでは遅いのです.

   では,「実験の結果わかったことを他人と共有し,議論するためのグラフ」には何が最低限必要でしょうか.グラフはデータを視覚化するものですから,グラフの点は見やすい大きさで描くと良いでしょう.また,後々どのような結果をグラフに描いたのかわかるように,軸にラベルを描く,単位を忘れずに付記しましょう. 複数の系列が登場する場合には,どの点が何に対応するか,わかるように凡例をつけましょう.グラフ全体が何を示すことを意図して描かれたものか,タイトルやキャプションとしてグラフの下に記載があるとなおよいでしょう. これらの点に注意して描いたグラフは,そのままレポートに掲載する上で十分なものになっているはずです.



グラフ用紙の使い方


   グラフはグラフ用紙を使って手書きで作成してください。Excelなどの表計算ソフトにもグラフ機能があり、多彩なグラフを作成できますが、デフォルトの設定では、レポートや論文など科学的な報告に用いるのにふさわしいグラフは作成できません。重要な点は、流麗なグラフを描くことではなく、要点を押さえたグラフを描くことです。

   ただし,データ処理に表計算ソフトなどを使うことはかまいません.むしろ積極的に利用してください.

   手書きのグラフをレポートファイルに取り込むには、カメラもしくはスキャナなどで描いたグラフのデジタル画像ファイルを作成して、ワープロファイルに挿入してください。

graph0-1.png

   グラフ用紙は図に示すように方眼の中にすべての情報が入るように余裕をもって使います.方眼の外の余白部分には何も書き込まないようにします.



縦軸,横軸,目盛り


   「手書きで」という言葉を「フリーハンドで」と解釈してヨレヨレの軸線を引いてくる人が時々いますが,軸線は定規を使ってしっかり引いてください.

   目盛りの数字は軸上の数カ所につければよく,あまり細かく振る必要はありません.軸上の0の位置には必ず0の数字を書き入れます.目盛り数字を付けた場所には目盛り線(スケールライン)を書き入れます(方眼紙のブルーのラインはそれだけでは目盛り線にはなりません).

   目盛りの数字は,データが非常に大きな値あるいは小さな値のときには有効数字を考慮して振らなければなりません.10000,20000,…と振ると有効数字は5桁あることになります.有効数字が3桁しかないのなら,単位にk(キロ)を付けて10,20,…とすべきです.k(キロ),M(メガ),あるいはm(ミリ),μ(マイクロ)のような接頭語をうまく使ってください,その他に×10 nのように表示する方法もあります.

   縦軸,横軸がそれぞれどのような変数を示すのか,単位とともに明記します.



データのプロット


   データの点は見やすいようにある程度の大きさ(直径2~4 mm程度)のシンボルでプロットします.シンボルは普通は円(○か●)を使い,中心がデータ点になるようにします.

   データの誤差範囲を見積もることができる場合にはプロットに“誤差棒”を付けます.誤差棒の付け方は教科書を参照してください.

   データのプロットを線で結ぶかどうか,どのような線で結ぶか(理論曲線,スプライン曲線など)は場合によります.それぞれの課題で指示があるはずです.わからなければ教員やTAに尋ねてください.



グラフのタイトル


   何を示したグラフなのか明示してください.タイトルは「○○と××の関係」とか「◇◇の△△に対する依存性」とか「■■の時間変化」などのように付けます.タイトルは,図の通し番号を振ってグラフの下に書くのが基本です.

   タイトルに加えて,必要なら,さらに説明を付けます.説明の内容は多くの場合本文中にも記載することになりますので,必須というわけではありません.

(なお,図にはグラフのほかに装置の図や実験手順の流れ図なども含まれます.これに対して表は図とは別扱いとして「表1」「表2」のように通し番号を振り,タイトルは表の上部に書くのが原則です.)



凡例


   複数系列のデータを同一グラフ内にプロットするときには,白抜きの円(○),塗りつぶしの円(●),あるいは四角(◇,□),三角(△,▽)などのシンボルで区別し,それぞれがどのデータ系列を示すのかを凡例に書き込みます.