GHSの目的
化学品を扱う際のリスクを減らすためには,まず,その化学品がどのような危険性を有しているのかを把握することが重要になります. そうした目的のため,国連が主体となって化学品の包装や容器に化学品の危険性を表示する規格を策定しました.それがGHS(化学品の分類および表示に関する 世界調和システム)です.
ラベルには,化学品の名称に加えて,シンボルマーク,危険性の度合いを大まかに表す注意喚起語, どのような取り扱いをしなければならないかを簡潔に示す危険有害性情報に続いて,その化学品を扱う上での詳しい注意書きと製造者などの情報が記載されます.
GHSにおける危険性の分類
GHSでは,以下に挙げる30種の危険性/有害性のクラスを定義していて,これらについてラベル等に危険性の表示を推奨しています.
- 爆発性
- 可燃性/引火性ガス
- エアゾール
- 支燃性/酸化性ガス
- 高圧ガス
- 引火性液体
- 可燃性固体
- 自己反応性化学品
- 自然発火性液体
- 自然発火性固体
- 自己発熱性化学品
- 水反応可燃性化学品
- 酸化性液体
- 酸化性固体
- 有機過酸化物
- 金属腐食性
- 急性毒性
- 皮膚腐食性/刺激性
- 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性
- 呼吸器感作性
- 皮膚感作性
- 生殖細胞変異原性
- 発がん性
- 生殖毒性
- 特定標的臓器毒性-単回ばく露
- 特定標的臓器毒性-反復ばく露
- 吸引性呼吸器有害性
- 水生環境有害性、短期間
- 水生環境有害性、長期間
- オゾン層への有害性
化学品の危険性の程度の違いや,性状などによって,クラス内でさらに複数の区分に分類されます.
GHSシンボルマーク
化学品がどのような危険性を有しているのかが視覚的に容易に判別できるように,9つのシンボルマーク(ピクトグラム,絵文字)が定められています.
爆弾の爆破
炎
円上の炎
ガスボンベ
腐食性
髑髏
感嘆符
環境
健康有害性
注意喚起語と危険性有害性情報
注意喚起語は,化学品の危険性を「危険」「警告」,「無表記」の3段階で表したものです.「危険」の表示がなされている化学品は,特に注意して取り扱う必要があります.
危険性有害性情報は,「極めて引火性の高い液体」,「強い眼刺激性」など,もう少し具体的にその化学品がどのような危険性を有しているのかを大まかに示す文言です. その化学品を取り扱うに際して,どのような点に注意すべきかを判断するのに有用な情報になります.
化学品のクラス,区分
化学品のクラスおよび区分の分類は,その化学品が有する物理的,化学的な性質に応じてなされます.GHSシンボルマークと注意喚起語,危険有害性情報として何が書かれるかは,その化学品が属する危険性有害性クラスと区分によって決定されます.分類分けの基準および表記事項は,国連GHS文書付属書 2 (日本語翻訳)に示されています.
危険性有害性クラスの区分と注意喚起語,危険有害性情報の対応については,別表にもまとめました.