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「科学と文化」

(9)弦の振動と音楽(1回)

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   地球上のほぼすべての音楽が、五線譜の上に書くことができる。この事実は、音楽が、地域、民族等によって独立に発展してきたものであることを考えると驚きに値する。つまり、音楽(音階)の背景にも普遍的なもの(自然法則)が存在することを示唆する。それが、弦や筒の振動の仕方である。はじめに、ギターを用いて弦の固有振動(定常波)を理解する。さらに定常波を理解すると、音階には、純正律(自然音階)と平均律という異なった音階が存在することが分る。さて、2つの音階はどちらが論理的に優れているのだろうか?この問いには答えがない。現在の西洋ピアノ音楽は、平均律を使用している。西洋音楽の父と呼ばれるバッハが、平均律は転調可能であり、美しい(音楽的表現に優れている)と判断し、使用したからである。このように、論理的な思考法は、優れたいくつかの選択肢を示してくれる。しかし、文化的、日常的問題において、どれを美しいと判断するのかは、あくまでも個人の意思や感性に依存することを認識して欲しいと考えた。